相続登記は亡くなった人から相続を原因として不動産を取得した人が行う登記であり、このことによって登記上の名義は相続人のものへと書き換わります。この手続きが完了しないと不動産を売却するのも困難となってしまいますので、早めに済ませておいたほうがよいのはもちろんですが、逆に当面の使い道や売却の予定もない場合には、あえて相続登記をせずにそのままの状態で放置してしまうことも、これまでは特に珍しいことではありませんでした。しかしこのことによってさまざまな社会問題が発生したため、政府も重い腰を上げて法律の改正に取り組み、2024年からは相続登記の義務化が行われることとなっています。義務化がはじまると相続により不動産を取得した人は期限内に登記申請をしなければならなくなり、違反をすれば罰則が適用されるおそれが生じます。

義務化以前に相続で取得した不動産が登記されていない場合についても、法律の施行から3年以内の登記が求められます。こうした相続登記の義務化の背景として、所有者不明土地の増加があることは見逃せません。相続があっても登記されなかった土地は、当然ですが現実の所有者と登記簿上の所有者に食い違いが発生します。空き地となって放置されている場合、草刈りなどの適正管理を所有者に促すにも登記の情報が頼りですので、食い違いがあれば結局は連絡がつかず、適正管理は実現できなくなってしまいます。

また行政が災害からの復興事業を行うために土地を買収したい場合なども同様で、所有者不明のために事業が進まなくなってしまうことがありますので、これらが相続登記義務化を強力に後押しした原因といえます。

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